顕微授精(ICSI)

1.顕微授精(ICSI)とは

通常、不妊治療においては、体外受精で受精しない場合や、男性不妊で体外受精では受精が難しい場合に、選択される治療方法が、顕微授精(ICSI)です。

顕微授精とはintracytoplasmic sperm injection(ICSI)のことを指します。精子を顕微鏡で観察しながら卵子に髪の毛よりも細い針を刺して、細胞質の中に直接精子を注入する方法です。

2.なぜ、顕微授精(ICSI)という治療法を選択するのか

にんよう性温存のために、卵子の凍結を行った場合には、透明帯が硬くなり、精神が卵子に進入しにくくなります。そこで、貴重な卵子を無駄にしないために顕微授精という方法を用いて授精させることになります。

また、顕微授精では、1個の卵子の中に1個の精子を直接注入するため、極少数の精子で受精・妊娠させることが可能になります。

ガン等の治療により、乏精子症あるいは無精子症を生じ、精液中に精子が少ないもしくは存在しない場合にも、精巣上体精子回収(閉塞性無精子症の時に精巣上体から直接、精子を回収する方法)、MD-TESE(精液中に精子が認められない無精子症の場合に、直接精巣から精子を採取する方法)により、精子が採取できれば、顕微授精を行うことができます。
→ ⑨「採精・精子凍結

3.顕微授精(ICSI)の手順

顕微授精(ICSI)の方法としては、外径7μm、内径5μmのガラスピペットにて、一個の精子を一個の卵細胞質内に注入します。

顕微授精

<顕微授精の設備>
顕微授精設備

顕微授精(ICSI)により妊娠を実現するためには、それを行うスタッフの技術力や医療機器の精度が高いことが求められ、それらは日進月歩で進歩しています。

例えば、卵子の第1極帯(成熟卵子にのみ見られる細胞)の近くには、紡錘体があるといわれていますが、これまで、通常の顕微鏡の写真では、紡錘体をとらえることはできませんでした。

紡錘体を傷つけることは、受精率の低下や多核となる原因のひとつと考えられてきましたが、顕微鏡に偏光板と画像解析装置を取り付けることにより、紡錘体を観察することができるようになり、精子を注入する際に卵子の紡錘体を傷つけることなくより安全・確実に顕微授精を行えるようになってきました。

生殖細胞や胚を取り扱うことのできる生殖補助医療胚培養士(胚培養士、エンブリオロジスト)という職種も確立し、最新の技術を学べる環境が整ってきています。

顕微授精(ICSI)実施後、授精が確認された受精卵(=胚)をさらに培養していきます。
→「④受精卵(=胚)培養」へ