採精・精子凍結

1.男性のにんよう性温存

にんよう性の温存は女性だけの問題ではありません。男性においてもガン・白血病等の悪性腫瘍患者の手術・化学・放射線療法前にのにんよう性温存を目的としたの精子の凍結保存が行われています。不妊治療の分野において、採精・精子凍結は日常的に行われており、技術的に確立しているといえます。また、奥様がにんよう性の温存治療を行う場合にも、顕微授精を行うために、ご主人には採精をお願いします。

2.採精

にんよう性温存のための顕微授精を行う場合には、採卵当日もしくは凍結卵子を解凍する日に採精をお願いします。(事前に、精子量や精子濃度、運動率、正常形態率白血球数、色などを検査いたします。)

3.精液中に精子がいない場合(精巣上体精子回収、もしくは、MD-TESE)

精液中に精子がいない状態を「非閉塞性無精子症」「閉塞性無精子症」といいます。抗がん剤の使用と無精子症との関連を示すデータが報告されており、男性に関してもがん治療がにんよう性に影響を及ぼしていることが知られています。

  非閉塞性無精子症 閉塞性無精子症
症状 精管(精子の通り道)に異常が見られないのに精子がいない。
→造精機能に異常がある。
精管に異常があるために精子がいない。
原因 染色体の数的な異常(20%)
性染色体の遺伝子異常(30%)
その他(50%)
精管が生まれつきない。
精管結紮(鼠径ヘルニアの手術時など)精巣上体(精子貯蔵部)の炎症

精液に精子が認められない場合には、精巣上体精子回収、もしくは、MD-TESEという治療法により、精子を採取します。

精巣上体精子回収 閉塞性無精子症の時に精巣上体から直接、精子を回収する方法
MD-TESE

MD-TESE

無精子症(精液中に精子が認められない)の場合に直接精巣(睾丸)から精子を採取する方法
MD-TESEは、顕微鏡下で状態の良い太い精細管(精子が作られる場所)を選び採取します。
顕微鏡下精巣内精子回収法で採取した精子で、顕微授精に使用しなかった精子は凍結保存することができます。
※精子が存在する確率は約60%(染色体異常がある症例では約45%)
※染色体が正常で、精巣容量が15ml以上、かつ血中FSH値が12mIU/ml未満の場合では、90%以上精子が存在します。

4.精子の選択

顕微授精を行う際、より形態的に良好な静止を選択するために、高倍率での精子の観察を行っています。顕微授精を行う場合、大きな空胞がある静止と大きな空胞がない精子を用いた場合に、大きな空胞がない精子では妊娠率が高く、流産率が低い、また、大きな空胞がある精子では妊娠率は低く、流産率が高くなるとの報告もあります。

精子正常所見

正常形態精子と奇形精子

5.精子の凍結方法

精子凍結

卵子・受精卵(=胚)同様、精子を-196℃の液体窒素中に凍結します。精子の数に応じて、クライオチップ、クライオトップ、クライオチューブといった凍結器具を用いて凍結します。

6.精子の凍結状態の継続

がん等の原疾患治療終了後、妊娠を希望する時期まで、凍結物の凍結保存を継続することができます。ただし、凍結保存継続や融解に関して、制約条件がありますので、凍結を依頼する医療機関で確認が必要です。

※本サイト運営者である京野アートクリニックでは、凍結の保存期限は、患者様のお申し出により1年更新としています。凍結保存期間内に夫婦が離婚した場合、妻が生殖年齢を超えた場合、一方または、二人ともに死亡あるいは行方不明になった場合には、凍結保存物を廃棄することを患者さんにご理解いただいております。