卵巣摘出・凍結

1.卵巣摘出・凍結

がん等の悪性腫瘍の患者さんの治療に際し、卵巣機能不全になる前に、卵巣の全てもしくは一部を摘出し、凍結保存し、治癒後あるいは妊娠希望の際に、卵巣を融解・移植し、卵巣機能を回復することによりにんよう性を温存する方法です。

  • 卵巣切片(1×10×10mm)を凍結する
  • 分離した卵胞(30~50μm)を凍結する
  • 全卵巣(10×15×30mm)を凍結する

の3通りの方法があります。

ただし、現在報告されている妊娠・出産例はいずれも、卵巣切片の凍結・融解・移植によるものであり、全卵巣凍結に関しては、実用化に向けての研究段階といえます。

2.卵巣切片の凍結の流れ

組織等を凍結する際、そのまま凍結すると細胞内に氷の結晶ができます。
その氷の結晶が大きく成長すると細胞を傷つけてしまいます。
その氷の結晶の成長を防ぐために凍結保護剤というものを用います。

図の中のES(平衡化液)とVS(ガラス化液)には、その凍結保護剤が入っており、組織をES液やVS液に浸けることで、組織内に凍結保護剤を浸透させます。そうすることで、凍結する際に氷の結晶が大きく成長することを防ぎ、細胞へのダメージも最小限に抑えることができます。そのため、このような手順で凍結することにより、融解後の生存性を維持することができます。

STEP1
専用の器具を用い、卵巣を10×10×1(mm)に切ります。
凍結の流れ1 photo01
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卵巣組織
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STEP3
切った卵巣を凍結する前に必要な処理(凍結保護剤への置換)を行います。
凍結の流れ2 photo02
↓
VS
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STEP3
処理を行った卵巣組織をCryotissueの上にのせ、液体窒素に投入し、キャップをします。
凍結の流れ3 photo03
卵巣を凍結保存する際に使用するCryotissue(クライオティシュ)
cryotissue
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STEP4
凍結タンクに入れて保存します。
凍結の流れ4

※「1×10×10の卵巣切片」の凍結方法の一例です。
卵巣凍結に関しては、何種類かの凍結方法がありますが、本ホームページでご紹介しているのは、クライオティシュというものを使用したガラス化法という方法です。