妊孕性とは

妊孕性とは、簡単に表現すると妊娠する力のことを指します。女性においては、子宮・卵巣(および卵子)が密接に関係しています。

子宮は、出生するまでの間、赤ちゃんを育むための女性特有の臓器です。子宮がなければ、自分自身での妊娠出産は不可能です。

妊娠するためには精子と卵子が必要ですが、その卵子は卵巣の中に「原子卵胞」として存在しています。

生まれたときに40万個ほどある卵子は35歳には1-2万個まで減少するとされており、その数が増えることはありません。

この図は残されている卵子の数を推し量るAMH検査の年齢における分布図ですが、加齢とともに低下していく傾向が見て取れます。

また、加齢とともに卵子の質も低下していきます。

卵子の質が低下してしまうことで、染色体異常となることが増え、その結果妊娠する確率が下がり、妊娠したとしても流産する可能性が高まってしまいます。

現代の医学では卵子の数を増加させたり、質を回復させる術はないとされています。つまり、妊孕性は一度失われてしまうと取り戻すことができないということです。

がん治療が妊孕性に与える影響とは

がん患者は年々増加しており、2018年の報告では、100万を超える罹患者が予測されています。同時に、がん治療の革新的な進歩によって、がんを克服する患者さんも著しく増加しております。

そのため、がん治療を克服することまでを想定したQOL(生活の質)向上を目指していく必要があります。

卵巣をはじめとした性腺組織は化学療法や放射線療法に対して非常に影響を受けやすいことで知られており、化学療法の結果、揮発月経という月経周期が正常よりも長い状態で、医学的には39日以上の月経や、無排卵症などの卵巣の機能不全の発症頻度は20-100%という報告もなされています。

卵巣に放射線が照射された場合、卵巣の機能が著しく低下し閉経してしまうことも確認されています。つまり、化学療法等の結果、妊孕性が廃絶されてしまう患者さまが増え、長期にわたってQOLの低下を招くと考えられています。

妊孕性温存 -生殖医療の活用-

がん治療によって低下してしまう可能性が高い妊孕性を、がん治療開始前に身体の外へ避難させ、温存する治療を妊孕性温存と呼びます。

妊孕性温存の方法としては

  • 卵子凍結

  • 受精卵凍結

  • 卵巣凍結

  • 精子凍結

があります。

妊孕性温存と生殖医療とりわけ卵巣凍結はまだまだ認知されている方が少ないのが実情です。それぞれの方法や特徴は個別に紹介いたしますが、どのような状況の方に、どのような妊孕性温存が適応になるかは以下のような流れで考えられるのが一般的です。

日本癌治療学会から発行されている、小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン2017年版によれば、女性の妊孕性温存における推奨グレードは、

受精卵凍結:B

卵子凍結:C

卵巣組織凍結:C

となっています。

卵巣組織凍結については、研究段階という記載がされていますが、日本国内でも実施件数が増加しているという報告がされていますし

世界で見ると、卵巣組織凍結後、移植して妊娠・出産されたお子さんは、すでに120名を超えているという報告がされています。

簡単に各方法の特徴をまとめると以下のようになります。詳細は各治療のページでも紹介しています。

卵子凍結
受精卵凍結
卵巣組織凍結
適応疾患
白血病、乳がん
悪性リンパ腫など
白血病、乳がん
悪性リンパ腫など
悪性腫瘍
(特に緊急時、15歳以下)
対象年齢
13歳以上40歳まで
13歳以上45歳まで
0歳以上37歳まで
婚姻
未婚
既婚(事実婚含む)
未婚・既婚
卵巣刺激
必要
必要
不要
治療期間
長:2-4週間
長:2-4週間
短:2-3日間
凍結方法
ガラス化法
ガラス化法
緩慢凍結法
融解後生存率
90%以上
95%以上
50-80%以上
妊娠方法
顕微授精
体外受精
自然妊娠 or 体外受精
出産例
多数
多数
120例以上
身体への負担
経膣的採卵
卵巣刺激による副作用
経膣的採卵
卵巣刺激による副作用
腹腔鏡による卵巣摘出
問題点
児獲得まで10個以上の卵子を得ることが目安となる
児獲得まで3個以上の胚盤胞を得ることが目安となる
がん細胞の再移入
移植後の卵巣機能期間が数カ月から5年程度と報告

妊孕性温存は、原則としてがん治療を最優先に考え、そのうえで患者さんの状況、ご希望を考慮しながら、どの方法で行うのかを考えていく必要があります。

妊孕性温存についてお悩みになられましたら、いつでもお問い合わせください。

TEL:03-6408-4720
hope@ivf-kyono.com

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